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髄膜炎菌ワクチン

2025.12.10

ワクチンの概要 任意接種 不活化ワクチン 渡航者 免疫異常者 医療関係者 集団生活者

髄膜炎菌に感染すると、命をおびやかす重篤な感染症で、髄膜炎や敗血症等を引き起こします。
ここでは、日本で承認されている髄膜炎菌ワクチンの説明をします。
髄膜炎菌感染症に罹患するリスクの高い方を対象とするワクチンとなります。

接種スケジュール

通常は、2歳以上に1回0.5mlを筋肉内注射する。
無脾症や脾臓摘出後、持続性補体欠損症、HIV感染などの疾患を有する者や補体阻害薬投与例では0.5mlを2回接種する(表1)。

ワクチンの種類 4 価髄膜炎菌ワクチン (破傷風トキソイド結合体)
接種量 0.5 mL / 回
商品名 メンクアッドフィ®筋注 (サノフィ株式会社)

表1 補体欠損症および補体阻害薬使用患者に推奨される髄膜炎菌ワクチンの接種スケジュール

2~9歳

Primary vaccination:8週以上の間隔をあけて2回。

追加接種(リスクが維持される場合)
・7歳未満:1回目の接種から3年後に1回接種。2回目の接種から3年後に1回接種する。以後5年毎。
・7歳以上:初回接種から5年後に単回接種。以後5年毎。

10歳以上

Primary vaccination:8週以上の間隔をあけて2回。

追加接種(リスクが維持され場合)

  ・1回目の接種から5年後に1回接種、以後5年毎。

主な副反応

重大な反応として、ショック、アナフィラキシーが現れることがあります。主な副反応(発現頻度10%以上)として、注射部位疼痛(36.5%)、筋肉痛(28.2%)、頭痛(23.9%)が報告されています。

予防できる病気:髄膜炎菌感染症(血清型A、C、Y、W)

現在、わが国で承認されている髄膜炎菌ワクチンは血清型A、C、Y、W髄膜炎菌に対するワクチンで結合型ワクチンです。それぞれの血清群の莢膜多糖体が各10μg含有されています。

・日本国内で約2割を占めるB型には無効
・米国においては、遺伝子組換えワクチン(血清型Bの髄膜炎菌ワクチン)が認可
侵襲性髄膜炎菌感染症は、髄膜炎菌による重篤な感染症で、髄膜炎、菌血症、敗血症、髄膜脳炎などがあり、菌血症は多くの場合、点状出血や紫斑を伴います。重症例では発症から24~48時間以内に病状が進行し、適切な治療をうけても死に至る(致死率10~15%)、あるいは生存しても5人に1人が後遺症を残す可能性のある重篤な感染症です(図1)。


米国、日本等の先進国でも散発的な集団感染の報告が 図1、侵襲性髄膜炎菌感染症の後遺症 あります。

 

主な感染経路:

せきやくしゃみなどの飛沫や鼻汁や唾液などの分泌物を介して、ヒトからヒトへ感染します。また同居している家族や集団生活の場では感染伝播のリスクとなります。

接種対象者について

せきやくしゃみなどの飛沫や鼻汁や唾液などの分泌物を介して、ヒトからヒトへ感染します。また同居している家族や集団生活の場では感染伝播のリスクとなります。

1. 髄膜炎菌感染症流行地域へ渡航する者
(メッカ巡礼に対してサウジアラビアに渡航する者、アフリカ髄膜炎ベルト地域等の流行地に渡航する者等)、
2. 髄膜炎菌ワクチン定期接種実施国へ留学する者
3. 補体欠損症・無脾症もしくは脾機能不全、HIV感染症等のハイリスク患者
4. エクリズマブ・ラブリズマブ・スチムリマブ等の補体阻害薬投与患者
5. 学校の寮等で集団生活を送る者
6. 検査室や研究室で髄膜炎菌を扱う臨床検査技師や微生物研究者
7. 患者と濃厚接触が予測される医療関係者
8. 大規模イベントの大会関係者で髄膜炎菌の流行国(例、サハラ以南のアフリカ諸国、欧州・中東諸国等)からの参加者と接触する可能性が高い人

※該当がある方は、接種可能な医療機関(FORTHのHPに掲載)へご相談ください