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ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン

2018.08.10

ワクチンの概要 定期接種 不活化ワクチン 小児

ヒトパピローマウイルスによって引き起こされる感染症を予防し、それが原因とされる子宮頸がん、 肛門がん、膣がんや尖圭コンジローマの将来的な発症を予防するためのワクチンです。 2価(HPV16型、18型)の「サーバリックス」と4価(HPV6型、11型、16型、18型)の「ガーダシル」があります。

ワクチンによって接種スケジュールが異なりますので注意してください。

2013年6月から、予防接種後の体の広い範囲で持続する疼痛や原因不明の運動障害などの副反応症例が報告されたことによる 「積極的な接種勧奨の一時差し控え」が続いていますが、定期接種から外れているわけではありません。

現在でも希望者は定期接種として予防接種を受けることができます。
ワクチンの効果に関しては、海外の数か国のデータではありますが、HPVへの感染率が低下した、 さらに子宮頸がんを発症する頻度も低下した、という報告があります。また、WHOもワクチン接種を推奨し、 積極的な接種勧奨を中断している日本の現状を批判しています。

接種スケジュール

定期接種の対象年齢は、小学校6年生~高校1年生です。 また、任意接種は、サーバリックスは10歳から、ガーダシルは9歳から接種が可能です。年齢の上限はありません。

サーバリックス 1ヶ月間隔で2回接種。初回から6ヶ月空けて3回目接種。
ガーダシル 2ヶ月間隔で2回接種。初回から6ヶ月空けて3回目接種。

通常上腕三頭筋部に筋肉内接種で行います。また、両ワクチンには互換性はないので、同じワクチンで3回の接種を終えることが原則です。

ワクチンの種類 不活化ワクチン
定期 / 任意 定期接種(小学校6年生~高校1年生の女子)
任意接種(サーバリックスは10歳から、ガーダシルは9歳から)
接種回数 3 回
接種量 0.5 mL
商品名 サーバリックス(2価ワクチン)
ガーダシル  (4価ワクチン)

主な副反応

接種部位の痛み、腫れ、発熱などが見られることがあります。
ワクチン接種後の失神にも注意が必要で、これは強い緊張をして、それが解けた時に起こる血管迷走神経反射により起こりますので、 臥位での接種を考慮したり、接種後30分くらい背もたれのあるソファなどに座らせて経過を見ると良いです。

なおワクチン接種後に原因不明の複合性局所疼痛症候群(CRPS) といわれる慢性の痛みを伴う症状や運動障害などの重い症状の事例が報告されていますが、フランスでの大規模調査などから、 CRPSなどの発生率は、接種者と一般集団で差がないという結果が出ています。

また日本でも2016年に名古屋市が「子宮頸がん予防接種調査」の結果を公表。 その結果、接種者と一般集団で有害事象の発生について、有為な差は認められていません。

なお、平成30年1月に厚労省よりHPVワクチンの定期接種に関するリーフレットが改定され、配布されました。 その内容は、HPVワクチン接種を検討する保護者の方に向けた、ワクチン接種の意義・効果と安全性に対する情報提供となっています。

予防できる病気:
ヒトパピローマウイルス感染症

ヒトパピローマウイルス(HPV)は性交経験がある女性の約50%が生涯で一度は感染すると言われています。

100以上の遺伝子型があるウイルスの中で、15種類が子宮頸がんのリスクを高める「高リスク型HPV」とされています。 中でもHPV16、18型の感染は子宮頸がんの約50~70%の原因となっています。

また、HPV6、11型は、尖圭コンジローマや再発性呼吸器乳頭腫症の原因になるとされています。
多くの場合HPVに感染してもウイルスは自然に排出されてしまいますが、持続的に感染が続いた場合(平均で10年以上)、 前がん病変の状態を経て、その一部が子宮頸がんを引き起こすとされています。

また子宮頸がんだけではなく、肛門がん、膣がん、尖圭コンジローマの原因となっていると考えられています。 日本国内では毎年約10、000人が子宮頚がんを発症し、約2、700人が死亡しています。また若い女性で増加しています。

主な感染経路:

性交渉による感染がほとんどです。
性交回数が多くなるほど、感染の可能性が増えると言われています。