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第1回 「予防接種ワークショップ」レポート

ワークショップ

第1回「彩の国 予防接種推進協議会」主催のワークショップ(2012年7月29日)が無事終了いたしました


およそ80名の医療関係者の方々に集まっていただきました。参加した各々の皆様が、明日から実践できる「何か」をお持ち帰りいただいたかと思います。「当日は一体どのような様子だったのか」まとめてみました。

第1回「彩の国 予防接種推進協議会」主催
予防接種ワークショップ「みんなでワクチン接種を奨めよう」
会場:県民健康センター1F大会議室(浦和)

ランチョン・セミナー:岡部信彦先生(川崎衛生研究所所長)「どうかわる 日本のポリオワクチン」
座長        :峯真人
オリエンテーション :原朋邦
ファシリテーター  :峯真人、原朋邦、桃木俊朗、草刈章、田中秀朋、水口淳一、川野豊、
           大山昇一、坂田英明
目的:予防接種の正しい情報発信
参加者79名(小児科医・内科医・産婦人科医・産科医・看護師・助産師・保健師・医療事務)

現場で役立つ「実践方法」を導きだす

峯真人

彩の国 予防接種推進協議会主催「ワクチンのワークショップ」開催の目的は、実際の医療現場で役立つ「実践方法」を提供することでした。それには「聞くだけの一方通行になってしまうセミナー」よりも、「参加型のワークショップ」のほうが効果的だと考えました。今回は、医師・看護師・助産師・保健師・医療事務職の方を含めた5つのグループを作成。ファシリテーター(補助役・まとめ役)を中心に「K?J法」を使い、各々が思いついたアイデアをその場でポストイットに記載、そして用意した模造紙に貼っていく、「アイデアを出しながら同時にまとめていく」方法を活用しました。限られた時間の枠でしたが、各グループからはたくさんの「意見」「アイデア」が続出、様々な「結論」を導きだしました。座長:峯真人

原朋邦

「ワークショップとは何か」今回のオリエンテーション役、原朋邦先生の挨拶からWSスタート。「ワークショップ(Work Shop) とは、日本語に訳すと「工場・工房・作業場=作り上げる場所」という意味になります。 今回は、「1つの目標をみんなで協力して作り上げる」という意味でとらえてください。自分自身で発言し、また他の人の発言に共感し、逆に反発しながら「自分自身」を参加させることで、今日の知識を自分の身体の一部にして持ち帰って頂ければと思います。自分の知りたい情報を大勢の人の中から引き出し、まとめてみるのがワークショップの醍醐味です。右の脳も左の脳も使い、目も使い耳もつかい体をつかって感じたことは、これからの行動に必ず現れるはずだと信じております。」

岡部信彦

ランチョン・セミナー 岡部信彦 先生(川崎衛生研究所所長)
「どうかわる 日本のポリオワクチン」
2012年9月に導入される不活化ポリオワクチン。それに伴い、生ポリオワクチンは平成24年9月1日より定期接種から外れます。予防接種の考え方が急展開している中、日本でのポリオワクチンはどのように変化していくのか。ポリオ(Poliomyelitis、急性灰白髄炎)の特徴、問題点、歴史から生ポリオワクチン、不活化ポリオワクチン、更には今後導入が予定されている4種混合ワクチンの事まで詳しくお話していただきました。また今回のワークショップ(午後の部)にも飛び入り参加していただきました。

ワークショップは2部構成。午前の部と午後の部の2回に別けました。午前と午後の間には、ランチョン・セミナーとして岡部信彦 先生(川崎衛生研究所所長)の「どう変わる 日本のポリオワクチン」の講演がありました。

午前:[議題] 正確な予防接種情報の広め方について
・どうすればワクチンを推進していけるのか、また阻害している因子は何か。どう対応するべきか。
・ワクチンの正しい情報を伝えていく手段を中心にワークショップを進めていきます。


午後:[議題] 何をすべきか・私たちにできること
・午前の部で導かれた沢山の「広め方」について、今度は「私たちができること」、または「するべきことをより具体的に実行するには」を課題にワークショップを進めていきます。岡部先生も飛び入り参加していただきました。


午前の部ワークショップで各グループが導きだした結論です。量が多いので「・」で区切り記載いたします。一部同じ情報が重複している場合がありますが、各グループから出てきた回答なのであえて記載しております。ご了承ください。
・医院ホームページにて情報公開・パンフレットの作成・院内で予防接種スケジュールを作りリーフレット作成配布・市役所のホームページ活用方法・家庭訪問・電話相談・勉強会の実施・テレビCM・海外のワクチン先進国の情報を提供する・母子手帳の活用方法を伝える・「定期接種」と「任意接種」では言葉的に説明がしづらい・同時接種の教育・乳児健診時の説明・学校での啓蒙活動・疾患についての詳しい情報提供・新生児訪問時の説明・保育園、託児所への教育・行政へのアプローチ(もうけてるんでなく、護ることを伝える)・同時接種の正しい説明・副反応の正しい知識・保護者への説明・日本だけの任意接種と定期接種という習慣・ワクチン週間をもっと活用・夜や日曜日の接種を時間を作るべき・予約がすでに埋まっているケースがあるので早い時期からの予防接種予約スタートを可能にする・2ヶ月デビューするなら「生後2週間」から伝える・予防接種の専門医制度の導入・入学時の予防接種義務化・情報過多。沢山ありすぎて情報の統一化ができていない・同時接種の認識・わかりやすい同時接種の組み合わせとは?・院内での予防接種の知識の共有化・ポスター、ホームページの活用・同時接種の知識の共有・1ヶ月健診時の予防接種の啓蒙・スケジュール表の提示・ワクチンんしていない人への連絡(行政)・母子手帳の活用方法の説明・説明する時間が足りない。・産科の先生と知識共有・ママへの正しい情報提供・予防接種の情報がまだまとまっていない気がする・ママ目線の予防接種の正しい情報をもっと伝える。必要がある



午後の部ワークショップで各グループが導きだした結論です。
・産科と小児科の連携・消極的な保護者に対する対応の徹底(出生届を提出するときにおみやげとして配布する)(テレビCM)(母子手帳に別途スケジュールを貼ってあげる)・妊娠中のママへ伝えていくのは時期にはベスト・出生施設で伝えていくのも時期的にはいい・ホームページでの伝達・「ましょう」を使わない。「~は終わりましたか?」「~もうやりましたか?」いう確認語尾にする。・母親教室などでカリキュラム化する・おじいちゃん、おばあちゃんをもっと巻き込む・同時接種した場合、金額を安くする・出産後退院時に小児科リストなどを提供・ホームページへの誘導「わからない時は彩の国 予防接種推進協議会のホームページへ!」・2ヶ月デビューをするためには早めに保護者へ伝達する必要あり。母子手帳、出生届提出時、2ヶ月運動をもっと活用する。・里帰り分娩の理解をもっと・里帰りでも予防接種保護ができるように・出生元である産婦人科での啓蒙・マスコミの活用・1ヶ月健診は情報を与える場として最適。・母子手帳は順番がわかりづらい。接種する順番がわかりづらい。・電子母子手帳化・同時接種と個別接種の違いがわかりづらい・産科、小児科、保健師、助産師の知識のレベルの統一が必要・主治医を決めて、主治医に聞くように促す。・アメリカのように「プライマリケア」する場所をつくる。・子供の命をまもる必要性をもっと全面に唱う。・2ヶ月デビューさせるなら、その前に啓蒙が必須・新生児訪問はタイムラグがありすぎるが1ヶ月訪問は遅すぎるので、分娩後の説明が一番タイミングガいい。・副反応 同時接種の不安を解消する具体的方法の選出・同時接種をしている小児科としない内科=内科への情報提供・産科、内科、小児科共通理解の為のパンフレット作成・副反応の保証に対する行政の責任の明示・定期接種と任意接種への金額的負担の緩和、もしくは定期化の推進・小児科はもちろん、新生児訪問、産科への正しい情報提供・解りやすいスケジュールを作ってもらいたい・副作用の説明を詳しくしてほしい・ワクチンの説明をしてほしい・保健体育の時間に、予防接種の教育の導入

まとめ 全体のまとめ
地区によっては既に実施していく具体的な対策等も発表して頂きました。医療関係者の一言が「ママ(保護者)」に対する影響がかなり大きい事があらためて実感できました。同時接種に関しては、以前よりも受け入れられるようになってきている傾向がみれるが、まだ同時接種をしない医療機関は存在する中、理解をしている人たちの行動がとても重要になってきます。そして医療機関の予防接種に対する知識の統一化も重要なファクターとなって浮き彫りにされてきました。本日のワークショップで、ワクチンを広めるに為に「何」が必要で、「障壁」なのかが体感できたと思います。そして同時に「どうすれば良いか」という具体的な結論も体感できたかと思います。全てを一度に実行する事は不可能です。願わくば「日本の子供たちの命を護る」ために、できるところから是非、明日からの行動に反映していただければと心からご協力のほうお願い申し上げます。

ピンクブックの活用
ピンクブックとはアメリカの小児科学会の教科書。本日ワークショップで行った一部の回答はこのサイトで確認する事ができます。無料で閲覧することができます。(すべて英語)結論としてワクチンを広めていくには「AFIX」が必要だとピンクブックでは謳っております。もちろんこれはアメリカの本なので、日本では実現できないこともありますが、参考にするには十分すぎる情報の宝庫です。是非、お時間をつくり目を通していただきたくお伝えさせていただきます。「AFIX」とは下記単語の頭文字(大文字部分)をとっています。

Assessment (情報収集)
Feedback (修正)
Incentive (報酬)
eXchange (情報公開)

PinkBook  http://www.cdc.gov/vaccines/pubs/pinkbook/index.html
AFIX     http://www.cdc.gov/vaccines/programs/afix/index.html

彩の国 予防接種推進協議会からのお願い
彩の国 予防接種推進協議会への要望も幾つか目に付いた項目がありました。そこで「正確な情報をどう伝えていくか」を実現していくために皆様の協力を心からお願い申し上げたく思います。「生後2ヶ月からのワクチンデビュー」「ホームページで充実していきたいコーナー」などのご要望がありましたら「彩の国 予防接種推進協議会」へのご連絡をお持ちしております。連絡方法はホームページ「お問い合わせ」をご活用ください。ご意見・ご要望をお待ちしております。↓

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